ケーススタディ&相続の落とし穴

ケーススタディ

Q.相続税の納付までの手続きや流れは?

親や夫・妻が亡くなって、相続が発生後、相続税の申告・納付までの期限は、わずか10ヶ月間しかありません。

※確定申告の必要のある人が亡くなった場合

Q.自分に相続税の心配はあるのだろうか?(平成27年1月1日より〜)

●遺産に係る基礎控除額
被相続人(亡くなった人)から相続によって財産を取得した人それぞれの課税価格(各人の課税価格)の合計が、遺産に係る基礎控除額(3,000万円と600万円に法廷相続人の数を乗じて算出した金額との合計額)を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要があります。

●相続税の税率構造

各法廷相続人の所得金額 税率
〜1,000万円以下 10%
1,000万円超〜3,000万円以下 15%
3,000万円超〜5,000万円以下 20%
5,000万円超〜1億円以下 30%
1億円超〜2億円以下 40%
2億円超〜3億円以下 45%
3億円超〜6億円以下 50%
6億円超〜 55%

※「各法定相続人の取得金額」とは、課税遺産総額(課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した金額)を法廷相続人の数に算入された相続人が法廷相続分に応じて取得したものとした場合の各人の取得金額をいいます。

Q.不動産(自宅等)の分けにくい資産を分割する方法はあるの?
分けにくい資産の分割には4通りの方法があります。
(1)換価分割
不動産を売り、売却代金を分割する
不動産を売却し、その売却代金を相続人で分けます。
メリット 公平に分割できる。取得費加算の特例が使える。
デメリット 譲渡所得税が発生する場合や希望価格で売れないことがある。
(2)代償分割
不動産を相続した人が他の相続人に不動産に相当する金額などを支払う
不動産を兄が相続し、兄は弟に自分の預貯金より相続分相当額を弟に渡します。
メリット 不動産を売らずに残せる。公平に分割できる。
デメリット 不動産を相続する人がまとまった現金が必要になる。
代償金額で折り合いが付かない場合がある。
(3)現物分割
不動産などの遺産をそのまま分割
一軒家の場合は実物を分けるのは難しいため、一軒家の相続ではあまり使われません。
同じ敷地内に家が2棟あれば1つずつ分割することができます。
メリット 不動産を売らずに残せる
デメリット 自宅の場合などは物理的に分割しにくい
(4)共同名義にする
1つの不動産を複数の相続人で共同で所有・管理する
それぞれ登記を行い、不動産を共同で所有します。
メリット 不動産を売らずに残せる。公平に分割できる。
デメリット 不動産の建て替え、増改築、売却を行う場合、相続人全員の合意が必要になる。
名義人の1人が死亡し相続が発生した際に、持ち分複数の相続人で共有名義にした場合はさらに共有名義人が増え意見がまとまりにくくなる

相続の落とし穴

ケース1 自分は一人っ子だから大丈夫

もし隠し子がいて認知済みなら相続権が発生します。
また遺言の指示があれば愛人にも相続権が生じることも考えられます。
「事実は小説よりも奇なり」と言いますが
「親の人生を余すことなく知っていますか」
「ウチの親に限って心配ないと断言できますか」
相続人確定の調査確認を済まさないうちは、自分は一人っ子だからと言っても「大丈夫」と断言できそうにもありません。

ケース2 親に相続財産が全く無いから大丈夫

親にたいした金融資産も不動産も無い場合、
逆に親に借金がないか確認する必要があります。
借金があった場合、相続開始したことを知った時及び自分が相続人になったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の手続きをしないと親の借金を肩代わりすることになります。

ケース3 親が元気だから大丈夫

体が健康でも、認知症となる可能性もあります。
最近、本人確認や自署などの厳格化により本人の意思能力が無くなれば、下記の行為に支障をきたし、相続対策が非常に困難となってきます。
親の意思能力が衰える前に相続対策は早めに行うことをお勧めします。

(1)不動産の売買や賃貸の契約
(2)遺言
(3)遺産分割協議
(4)預金の入出金
(5)贈与
(6)保険契約
など

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